医療系専門職から大学教員への道

医療系専門職から大学教員になることになった者です。これまで行ってきたこと、これから起こることを備忘録的に書いてみます。

MMSEとHDS-Rの違い

臨床で使う機会は多い。

脳卒中や脳外傷等の脳神経疾患の急性期で、意識障害が改善し(JCSⅠ桁を数分保持できる状態)、座位が数分取れるようになったら行ってもよい時期と考えている。

また、MMSE、HDS-Rともに認知症のスクリーニング検査であるが、上記のような脳血管疾患、神経変性疾患がある人の場合にもその回復過程をとらえる評価として使用しても差し支えないと考えている。あ、だからと言って闇雲にやっちゃだめ。練習効果があるので、再評価は少なくとも1ヶ月は空けたいところ。行う時期やタイミングを考慮して検査を選択し、施行していくのがプロの臨床家ってもんだ(と思う)。

 

■MMSE: Mini Mental State Examination

カットオフ:23点以下

特徴:HDS-Rよりも認知機能全般を網羅している(言語機能、構成等)

使用物品:鉛筆、日常的によく使用する物品2つ(時計、メガネ等)。

 

■HDS-R: 長谷川式簡易知能評価スケール

カットオフ:20点以下

特徴:記憶機能にやや重点が置かれている

使用物品:ストップウォッチ、日常的によく使用する物品5つ(時計、メガネ、鉛筆、鍵、スプーン等)→これらは同じカテゴリに入らない物を選択する。

 

※注意点:双方で、言語の即時再生課題を行った後に連続計算課題を実施し、遅延再生課題を行う。これは、言語を遅れて想起できるかを測定するための手順なので、検査を途中で中断しないことがポイントである。

 

学生時代、臨床実習の時に、連続計算課題の後に雑談を入れてしまい、スーパーバイザーにこっ酷く怒られたのは忘れもしませんww

まあ、このような失敗経験から学ぶことが大切なのかもしれないが。

 

また、これらの課題は左脳損傷失語症があることが疑われる場合は、行ってもあまり意味がないので私はやらない(行う人もいるようですが、失語があるとそもそも話せなかったり、言葉を理解していないことが多いので絶対点数は低く出ます。だからといってそれは認知症ではないです)。

 

あと、これらの二つの検査は重複する項目があるため、同時に施行できるような検査用紙が出回っていたりするが、原則として同時に行うことはNGである。検査の手続きが異なると、検査結果が正しく出ない可能性があるためだ。健康な人なら同時にやっても満点か数点の差であろうが、認知機能落ちてきたややボケボケの方にとっては、その微妙な違いが大きな差となる可能性があるためだ。なので、私はこの二つの検査を行う時は日を分けて行うようにしている。まあ、それは入院しているからできるわけだけど。もし外来で来られる日数が限られているならば、どちらか一つ、おそらくMMSEを優先するかな。私なら。